日本の鉄道の安全基準
昨日、NHKの『クローズアップ現代』でやっていた「どう守る?鉄道の安全」は、見ごたえがあった。
前々から、気になっていたJR中央線の新型車両。運転席と客室の間が広くなっていることに「なぜだろう?」と疑問を持っていたことに決着がついた。
日本の鉄道について、実は、衝突や脱線に対する安全基準が全く存在しなかった。それは、衝突させない、脱線させないと言うことが前提にあったからだ。
それが、三年前に起きた福知山線の脱線事故が教訓となって、安全基準に対するガイドラインが全面的に見直されるようになり、去年の七月から、それらによる指導が始まった。それが、さっき言ってたJR中央線の新型車両。
運転席と客室の間の空間を広く取って、衝突したときにその部分が壊れることにより衝突時の衝撃を吸収し、運転席と客室の空間を安全に守れるようにする。これをクラッシャブルゾーンと言う。
実は、ようやく見直されたこの日本の安全基準。アメリカに比べたら相当遅れている。アメリカは、一時、あまりの鉄道事故の多さに、衝突や脱線による車体の損傷から乗客を守るための安全基準が大幅に見直され検討されて、かつ、車体に応用されている。
日本の技術は、他国に比べたら確かに大きく進んでいるが、それは、車体を軽量化し、高速に快適に乗るためだけに注がれてきて、車体のダメージによる乗客の保護という対策からはあまり注視されていなかった。
福知山線のあまりのダメージの大きさから、国が本腰を入れるようになり、側面からのダメージもかなり改善された。乗客の椅子の端に取り付けてある鉄パイプは、板状のものになり、パイプの一点に集中するような致命的なダメージから、板状の面で全体に力が分散して、ダメージが軽減されるようにもなった。車体の変形に対する強度も見直されて、客室内が大きく凹まないようにもなった。
ただし、この取り組みはまだ始まったばかり。全国にある鉄道のほとんどが、昔のままの壊れやすい古い車体なのです。これから作られる電車の車体は、上述のように、客室空間が崩れにくい、強い構造のものに順次変わっていくものと思われます。
でも、それには、まだまだ年数がかかるようです。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント